「私の退職金、少なすぎ?」企業年金の相場と「足りない」と分かった時の挽回策
長年勤めた会社を退職する際、多くの人が楽しみにしているのが「退職金」です。しかし、いざ概算を確認してみたら「思っていたよりずっと少ない……」とショックを受けるケースは少なくありません。
「今の会社でもらえる退職金で、老後は本当に大丈夫?」
「他の会社と比べて自分のところは低いのかな?」
「今からでも老後資金を増やす方法はある?」
そんな不安を抱えている方に向けて、今回は日本の退職金・企業年金の最新相場を整理し、もし「足りない」と判明した時に今すぐ取れる具体的な挽回策を分かりやすく解説します。
1. 日本の退職金・企業年金の「相場」を知る
まずは、自分の立ち位置を知ることから始めましょう。学歴や企業規模によって差はありますが、一般的な目安(平均額)は以下の通りです。
勤続35年以上の定年退職者の平均(推計)
大学卒: 約1,800万〜2,000万円前後
高校卒: 約1,500万〜1,700万円前後
※これらは退職一時金と企業年金(DCやDB)の合計額の目安です。
企業規模による格差
大企業では2,000万円を超えることも珍しくありませんが、中小企業では1,000万円を下回るケースも多く、企業格差が非常に大きいのが現実です。また、近年は退職金制度自体を縮小・廃止し、その分を毎月の給与や確定拠出年金(DC)に振り分ける企業も増えています。
まずは、社内規定や確定拠出年金の管理画面で、自分の「今の想定額」を一度算出してみることが重要です。
2. 退職金が「少ない」と感じる3つの理由
なぜ「少ない」と感じるのでしょうか。それには現代特有の背景があります。
年功序列の崩壊: 以前のように「長く居れば勝手にお金が積み上がる」仕組みから、役職や成果に基づいたポイント制へ移行する企業が増えています。
運用利回りの低下: 会社が運用を保証する「確定給付年金(DB)」でも、低金利の影響で予定利率が下がっています。
自己責任の拡大: 企業型確定拠出年金(DC)が導入されている場合、あなた自身の運用成果によって、将来受け取る額が大きく変わってしまうからです。
3. 「足りない」と分かった時の3つの挽回策
もしシミュレーションをして「これでは老後が不安だ」と思っても、決して遅すぎることはありません。今からでも資産を最大化するチャンスはあります。
① 企業型DCの「マッチング拠出」をフル活用する
会社が積み立ててくれる掛金に、あなた自身が給料から「上乗せ」して積み立てる仕組みです。
メリット: 上乗せした分は全額が「所得控除」の対象となり、毎月の所得税や住民税が安くなります。
収益性: 節税分だけで確実に「プラスの利回り」を得ているのと同じ効果があります。
② iDeCo(イデコ)との併用を検討する
2024年以降の制度改正により、企業型DCに加入している人の多くがiDeCoを併用しやすくなりました。
月額の枠: 企業型DCの掛金と合わせて月額の上限(一般的に6.2万円など)まで、自分で追加の年金を作ることができます。
注意点: 2026年以降は「退職所得控除」のルール(10年ルール)など、受け取り時の税制も変化するため、出口戦略を見据えた積み立てが重要です。
③ 「運用商品」の見直し(放置からの卒業)
退職金が少ない原因が、DCの資産をすべて「元本確保型(定期預金など)」に置いているせいだとしたら、非常にもったいないです。
インデックス投資の活用: 世界株や米国株に連動する低コストな投資信託へスイッチング(預け替え)を検討しましょう。
時間の味方: 定年まで10年以上あるなら、株式比率を高めることで、運用益による大幅な上乗せ(挽回)が期待できます。
4. 税金で損をしない!賢い「出口戦略」
退職金やDCの受け取り方ひとつで、手取り額は数十万円単位で変わります。
一時金受取: 「退職所得控除」が適用され、税制面で非常に有利です。
年金受取: 「公的年金等控除」が適用されますが、雑所得として他の所得と合算されるため、社会保険料に影響が出る場合があります。
2026年からは、一時金で受け取る際の勤続年数の計算や、iDeCoと退職金の受取時期の間隔に関するルール(5年から10年への延長など)が厳格化されます。早めに「いつ、どう受け取るか」のプランを立てておくことが、最後の収益最大化ポイントです。
5. まとめ:気づいた今が「資産を増やす」スタート地点
「退職金が少なそうだから」と諦めてしまうのが一番のリスクです。今の時代、会社任せの退職金だけで老後を乗り切るのは難しくなっています。
まずは自分の現在の資産額を正確に把握する。
マッチング拠出やiDeCoで「自分専用の年金」を上乗せする。
運用の内容を見直し、お金にも働いてもらう。
この3ステップを実践するだけで、定年時の通帳の数字は確実に変わります。未来の自分に感謝されるよう、今できることから始めてみましょう。
企業年金があるかどうかの調べ方|自分の退職金・老後資金を確認する手順と重要ポイント