遺言書の保管場所はどこがいい?自筆証書遺言と公正証書遺言の安全な管理法


「せっかく遺言書を書いたのに、家族に見つけてもらえなかったらどうしよう」

「勝手に書き換えられたり、捨てられたりするリスクが心配……」

遺言書は、作成することと同じくらい「どこに、どうやって保管するか」が重要です。保管場所を誤ると、相続の手続きが遅れたり、最悪の場合は遺言書そのものが無効化されたりすることもあります。

この記事では、遺言書の種類(自筆証書遺言・公正証書遺言)に応じた最適な保管場所と、2020年から始まった新しい保管制度について詳しく解説します。


1. 公正証書遺言の保管:公証役場にお任せで安心

公正証書遺言の場合、保管場所で悩む必要はほとんどありません。なぜなら、「原本」は公証役場で厳重に保管されるからです。

  • 原本の保管: 公証役場で原則として120歳まで(または作成から50年間など、役場による)保管されます。紛失や改ざんの恐れは一切ありません。

  • 正本・謄本の管理: 本人の手元には「正本」や「謄本」が渡されます。これらは自宅の金庫や引き出しに保管しておけばOKです。

  • 見つける仕組み: 万が一、家族が遺言書の存在を知らなくても、本人の死後に全国の公証役場で「遺言検索システム」を利用して、遺言書の有無を確認できます。


2. 自筆証書遺言の保管:3つの選択肢とリスク

自分で手書きする「自筆証書遺言」は、保管場所によって安全性が大きく変わります。

① 自宅で保管(タンス・仏壇・簡易金庫)

  • メリット: 費用がかからず、いつでも書き直しや確認ができる。

  • デメリット: 紛失、盗難、家族による隠匿・改ざんのリスクが高い。

  • 注意点: 死後に家庭裁判所での「検認」手続きが必要です。

② 銀行の貸金庫で保管

  • メリット: 盗難や火災から確実に守られる。

  • デメリット: 契約者が亡くなると貸金庫が凍結され、相続人が開けるのに多大な手間(相続人全員の同意など)がかかる。遺言書を取り出すために遺言書が必要という「本末転倒」な事態になりかねません。

  • 対策: 貸金庫に預ける場合は、必ず「遺言執行者」を指定し、その旨を銀行に伝えておく必要があります。

③ 法務局の「自筆証書遺言書保管制度」【おすすめ】

2020年7月から始まった、国が自筆証書遺言を預かってくれる制度です。

  • メリット: 紛失・改ざんのリスクがゼロ。さらに、死後の「検認」手続きが不要になり、相続手続きがスムーズになります。

  • 通知機能: 遺言者が亡くなった際、あらかじめ指定した人(相続人など)に法務局から通知が届く仕組みもあります。

  • 費用: 1件につき3,900円(手数料)と非常に安価です。


3. 結局、どこに預けるのがベスト?

保管場所を選ぶ基準は、**「安全性」と「見つけやすさ」**のバランスです。

保管場所安全性見つけやすさ手続きのしやすさ費用
公証役場(公正証書)高め
法務局(自筆証書)安い
自宅(金庫など)無料
銀行貸金庫×月額制

4. 家族に「存在」を伝える工夫

どれほど安全な場所に預けても、家族がその存在を知らなければ意味がありません。以下の対策を組み合わせておきましょう。

  1. エンディングノートに記す: 「遺言書は法務局にある」「公正証書遺言を〇〇公証役場で作った」と場所だけをメモしておきます。内容まで書く必要はありません。

  2. 信頼できる一人にだけ伝える: 相続人全員に教える必要はありませんが、信頼できる家族や、遺言の執行を頼む専門家(弁護士・行政書士など)には場所を共有しておきましょう。

  3. 法務局の通知制度を活用する: 前述の法務局保管制度を利用し、死亡時の自動通知設定をしておくのが最も確実です。










まとめ:後悔しないための保管選び

遺言書は「隠すもの」ではなく「守るもの」です。

もしこれから作成するのであれば、「公正証書遺言」にして公証役場に預けるか、自筆なら「法務局の保管制度」を利用するのが、2020年代以降のスタンダードな安心管理法といえます。

自宅保管や貸金庫での保管は、リスクや後の手間を十分に理解した上で行いましょう。あなたの想いが、迷うことなく大切な家族へ届くように、最適な「居場所」を選んであげてください。


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