【個人事業主】単発バイトの給与計算マニュアル!源泉徴収「丙欄」の書き方と仕訳を解説
個人事業主として活動していると、繁忙期やイベントの時だけ「1日だけ誰かに手伝ってほしい」という場面が出てきます。その際、避けて通れないのが給与計算と源泉徴収の実務です。
特に単発アルバイト(日雇い)の場合、一般的な正社員や長期パートとは異なる「丙欄(へいらん)」という区分で税金を計算する必要があります。この記事では、初心者でも迷わない「丙欄」の計算方法から、確定申告で困らないための帳簿付け(仕訳)までを具体的に解説します。
1. 単発バイトの税区分「丙欄(へいらん)」とは?
給与から差し引く所得税を計算する際、税務署が発行している「源泉徴収税額表」を使用します。ここには「甲・乙・丙」の3つの区分がありますが、単発バイトは基本的に**「丙欄」**に該当します。
「丙欄」が適用される条件
以下の条件を満たす場合、丙欄を適用して計算します。
雇用期間が2ヶ月以内であること
あらかじめ定められた労働日または労働時間によって給与が計算されること(日給制や時給制など)
いわゆる「日雇い」の労働者がこれに当たります。2ヶ月を超えて継続して雇う場合は「甲欄」や「乙欄」への切り替えが必要になるため注意しましょう。
2. 【実践】丙欄での源泉徴収税額の出し方
丙欄の最大の特徴は、**「日額9,300円未満なら所得税が0円(非課税)」**という点です。
税額計算の具体的なステップ
計算は非常にシンプルです。その日の「社会保険料等控除後の給与額」をもとに税額表を確認します。
| 日額(社会保険料控除後) | 源泉徴収税額(丙欄) |
| 9,300円未満 | 0円 |
| 9,300円以上 〜 10,100円未満 | 20円 |
| 10,100円以上 〜 11,200円未満 | 40円 |
| 11,200円以上 〜 12,400円未満 | 70円 |
※12,400円を超える場合は、段階的に税額が上がります。
注意点:交通費の扱い
アルバイトに支払う「通勤手当(交通費)」は、合理的で実費の範囲内であれば、原則として非課税です。つまり、給与額に交通費を含めずに「日額9,300円」を判定して構いません。
3. 帳簿への書き方と仕訳例
雇ったアルバイトに給与を支払った際は、正しく経費計上(仕訳)を行う必要があります。後で慌てないよう、支払うタイミングごとに整理しておきましょう。
ケースA:日額8,000円(交通費なし)を当日現金で支払った場合
税額が0円のため、支払った全額を「給料賃金」として処理します。
借方: 給料賃金 8,000円 / 貸方: 現金 8,000円
ケースB:日給10,000円(源泉徴収あり)を当日現金で支払った場合
日額が9,300円を超えるため、税額表(丙欄)に基づき20円を差し引きます。
借方: 給料賃金 10,000円
貸方: 現金 9,980円
貸方: 預り金(所得税) 20円
この「預り金」は、事業主であるあなたが後日、税務署に納付するお金になります。
4. 源泉徴収票の作成と提出のルール
単発バイトであっても、支払った給与の記録は重要です。
1. 本人への交付
本来、給与を支払う際は「源泉徴収票」を本人に渡す義務があります。しかし、日雇いの場合は「給与明細」に源泉徴収額を明記して渡すことで代用されるケースも多いです。本人が確定申告を行う際に必要となるため、求められたらすぐに発行できるようにしておきましょう。
2. 税務署への納付
アルバイトから預かった所得税は、原則として支払った月の翌月10日までに専用の納付書を使って銀行や税務署で納付します。
ただし、あらかじめ「源泉所得税の納期の特例」の届出を出している個人事業主であれば、年2回にまとめて納付することが可能です。
5. 個人事業主がやってしまいがちな「NG例」
良かれと思ってやったことが、税務調査で指摘される原因になることがあります。以下のポイントには十分気をつけましょう。
「源泉徴収なし」で全額渡してしまう
日額が9,300円を超えているのに、面倒だからと税金を引かずに渡すのはNGです。後から「本来引くべきだった税金」を事業主が肩代わりして納税することになり、余計なコストがかかってしまいます。
領収書だけで済ませ、名簿を作らない
税務署から「本当にその人に支払ったのか?」と疑われないよう、氏名・住所・生年月日を記載した簡易的な労働者名簿や賃金台帳を作成し、7年間保存しておきましょう。
マイナンバーの回収を忘れる
原則として、源泉徴収の手続きにはマイナンバーが必要です。「1日だけだから」と省略せず、採用時に確認するフローを作っておくとスムーズです。
6. まとめ
個人事業主が単発アルバイトを雇う際のポイントは、「丙欄」の適用判断と日額9,300円のボーダーラインです。
雇用期間が2ヶ月以内なら「丙欄」で計算。
日額9,300円未満なら所得税は引かなくてOK。
9,300円以上なら税額表通りに源泉徴収し、仕訳で「預り金」を計上する。
支払った証拠(領収書や台帳)をしっかり残す。
これらを守ることで、クリーンな事業運営が可能になります。人手が必要な時にサッと募集し、正しく給与を支払える体制を整えて、ビジネスの可能性を広げていきましょう!
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