転勤でマイホームはどうする?留守中の自宅を貸す手順と知っておくべき注意点
「急な転勤が決まったけれど、せっかく建てたマイホームはどうしよう…」
「誰も住まない状態にしておくのはもったいないし、家が傷みそうで心配」
「いっそのこと誰かに貸して、家賃収入を得ながら住宅ローンの返済に充てられたら嬉しいけれど、何から始めればいいの?」
予期せぬ転勤の辞令が出たとき、大切な持ち家の扱いに頭を悩ませる方は本当に多いものです。手放したくはないけれど、空き家のまま放置するのも維持費や防犯の面で不安が残りますよね。
実は、留守中の自宅を一時的に第三者へ賃貸に出すという選択肢は、資産を有効活用するための賢いアプローチです。ただし、事前の準備や手続きを正しく理解しておかないと、思わぬトラブルや想定外の出費に見舞われてしまうこともあります。
この記事では、転勤に伴いマイホームを貸し出す際のスムーズな手順や、住宅ローン・税金に関する必ず押さえておきたい注意点を、初めての方にも分かりやすく丁寧に解説します。
転勤中に自宅を貸し出すメリットと知っておきたいリスク
大切な我が家を人に貸すとなると、期待できる利点がある一方で、当然ながら注意すべきポイントも存在します。まずは全体像をしっかりと把握しておきましょう。
留守中の自宅を貸すメリット
定期的な副収入(家賃収入)が得られる
毎月の家賃が口座に振り込まれるため、転勤先での二重生活による経済的な負担を大きく軽減できます。
家を良好な状態に維持できる
家は人が住んでいないと、通風や通水が行われず、驚くほどの速さで老朽化が進みます。誰かに住んでもらい、定期的に水回りや窓を開けてもらうことで、建物の痛みを防ぐことができます。
将来的に再び住むことができる
「いつかは地元に戻りたい」「数年後には帰任する予定がある」という場合、所有権を手放さずに資産を守り続けられます。
把握しておくべきリスクとデメリット
入居者が退去した後の修繕費用
退去時には、室内のクリーニングや壁紙の張り替えといった「原状回復工事」が必要になります。エアコンや給湯器などの設備が経年劣化で故障した際、その修理・交換費用は原則として貸主(オーナー)側の負担となります。
空室になる可能性
募集をかけてもすぐに借り手が見つからない時期や、入居者が退去した後の次の募集期間は、家賃収入が途絶えてしまいます。その間も、物件の管理費や固定資産税などの維持費は発生し続けます。
住宅ローンはどうなる?貸し出す前の必須チェックポイント
マイホームを貸し出すにあたり、最も重要で、最もトラブルになりやすいのが「住宅ローン」の取扱いです。
銀行への事前相談は絶対に不可欠
原則として、住宅ローンは「契約者本人が居住すること」を条件として融資されています。そのため、金融機関に無断で自宅を他人に貸し、家賃収入を得る行為は契約違反とみなされ、最悪の場合はローンの全額一括返済を求められるリスクがあります。
転勤というやむを得ない事情がある場合は、必ず事前に融資を受けている金融機関の窓口へ相談に行きましょう。
金融機関の一般的な対応パターン
多くの金融機関では、転勤の証明書(辞令のコピーなど)を提出することで、以下のような特例的な対応をしてくれるケースがあります。
住宅ローンのまま賃貸を一定期間認めてもらえる
(帰任後に再び本人が住むことを前提に、条件付きで許可されるケース)
不動産投資用ローン(アパートローン)への切り替えを求められる
(金利が住宅ローンよりも高くなる傾向があるため、収支の再計算が必要です)
いずれにせよ、金融機関からの承諾を正式に得ることが、安全に賃貸運営を始めるための大前提となります。
普通借家と定期借家どおり選ぶ?契約形態の超重要ルール
数年後にマイホームに戻ってくる予定がある場合、入居者と結ぶ「賃貸借契約の種類」の選択を誤ると、大変なことになります。日本の法律(借地借家法)において、契約形態は大きく2つに分かれます。
1. 普通借家契約(ふつうしゃっかけいやく)
一般的な賃貸物件で多く使われる契約です。契約期間(通常2年など)が終わっても、入居者が「まだ住み続けたい」と希望した場合、オーナー側の都合(「転勤から戻ってきたから家を返してほしい」など)では、原則として更新を拒否することができません。将来的に自分が再入居する予定があるなら、この契約を選ぶのは非常に危険です。
2. 定期借家契約(ていきしゃっかけいやく)
あらかじめ「〇年間」と期間をカチッと定めて貸し出す契約です。契約期間が満了すれば、更新されることなく確実に契約が終了し、入居者に退去してもらうことができます。
「3年間の海外赴任が決まった」「2年後に戻る予定」という場合は、この「定期借家契約」を選ぶのが鉄則です。ただし、入居者側にとっては期間が限られるデメリットがあるため、家賃相場を少し低めに設定しないと借り手が見つかりにくいという側面もあります。
スムーズに自宅を貸し出すための具体的ステップ
実際にマイホームを貸し出す際の手続きの流れを、分かりやすくステップ順に解説します。
ステップ1:信頼できる管理会社(不動産会社)の選定
転勤先が遠方であればあるほど、現地でのトラブル対応や入居者募集を自分で行うのは不可能です。留守中の物件管理の手間を代行してくれる「管理会社」を見つけましょう。
複数の不動産会社に問い合わせを行い、「リロケーション(転勤者の留守宅管理)」の実績が豊富な会社を選ぶのが安心です。
ステップ2:適正な家賃の査定と収支シミュレーション
不動産会社に、周辺の似たような間取りや立地の物件相場を調べてもらい、いくらで貸せるかの「査定」をしてもらいます。
提示された家賃から、管理委託手数料、マンションであれば毎月の管理費・修繕積立金、固定資産税などを差し引き、手元にいくら残るのか、住宅ローンの返済をカバーできるのかをシミュレーションします。
ステップ3:入居者の募集と審査
条件が決まったら、管理会社を通じてポータルサイトなどに物件情報を掲載し、借り手を探します。入居希望者が現れたら、家賃の支払い能力や人柄に問題がないか、管理会社や家賃保証会社による厳しい審査を行います。
ステップ4:賃貸借契約の締結と引き渡し
審査を通過したら、前述した「定期借家契約(または普通借家契約)」を締結します。入居者が入る前に、室内を綺麗にするためのハウスクリーニングを行い、荷物を完全に運び出した状態で鍵を引き渡します。
損をしないために!見落としがちな税金と保険の注意点
マイホームを賃貸物件に変えるということは、あなた自身が「個人事業主(大家さん)」になることを意味します。税金や保険の手続きも変わるため、忘れずに確認しておきましょう。
住宅ローン控除が受けられなくなる
現在、住宅ローン控除(所得税の減税)を受けている場合、自身がその家に住まなくなった年からは、控除の適用対象外となります。ただし、転勤から戻ってきて再びその家に居住を始めた場合は、残りの控除期間があれば再適用を受けられる制度があります。これには税務署への事前の届け出が必要になるため、必ず出発前に確認してください。
不動産所得の確定申告が必要になる
家賃として得た収入は「不動産所得」となり、年間の所得(収入から経費を差し引いた金額)が一定額を超える場合は、確定申告を行う義務が発生します。
管理会社への手数料、固定資産税、建物の減価償却費、ローンの利息部分などは「経費」として計上できるため、領収書や明細書は大切に保管しておきましょう。また、海外赴任の場合は、日本国内での税務手続きを代行してもらう「納税管理人の選任」が必要になります。
火災保険・地震保険の切り替え
マイホーム購入時に加入した火災保険は、通常「住宅用(本人が住むための家)」として契約されています。他人に貸し出す場合は、物件の区分が「賃貸用(営業用)」に変わるため、保険会社へ連絡して契約内容を変更(または新しく加入し直し)しなければなりません。これを怠ると、万が一の火災の際に保険金が支払われないケースがあるため大変危険です。
まとめ:早めの準備と正しい選択で大切な資産を守ろう
転勤に伴って大切なマイホームをどうするかという決断は、時間的な余裕がない中で迫られることが多く、焦ってしまいがちです。
しかし、「住宅ローンを組んでいる銀行への相談」「定期借家契約の活用」「信頼できる管理会社の選定」という重要ポイントさえしっかりと押さえておけば、留守中の自宅を有益な資産へと変えることができます。
まずは、自分の家が一体いくらで貸せるのか、相場を知ることから始めてみてください。専門知識を持つ不動産会社をパートナーに迎え、ゆとりを持って新生活のスタートを切りましょう。
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