「聞こえない」をどう伝える?職場や家族への説明・理解を求めるためのマナーと例文集
「何度も聞き返すのは申し訳ない」「聞こえないふりをしてやり過ごしてしまった」……。
耳の不調や難聴を抱えたとき、最も心をすり減らすのは、周囲とのコミュニケーションではないでしょうか。
特に職場や家族など、距離が近い相手ほど「伝わらないもどかしさ」や「誤解される怖さ」を感じるものです。しかし、無理をして合わせ続けることは、あなた自身のストレスを増幅させ、症状を悪化させる原因にもなりかねません。
この記事では、周囲に自分の状況を正しく、そして角を立てずに伝えるためのマナーと、そのまま使える具体的な例文集をご紹介します。相手に「どう助けてほしいか」を明確に伝えることで、お互いの負担を減らす第一歩を踏み出しましょう。
1. 相手に伝える際の「3つのマナー」と心得
ただ「聞こえません」と伝えるだけでは、相手はどう対応すべきか困ってしまいます。スムーズな理解を得るためのポイントは3つです。
① 「早めに」伝える
後から「実は聞こえていませんでした」と言うと、相手は「今までの会話は何だったのか」と戸惑ってしまいます。違和感があるなら、可能な限り早い段階で状況を共有しましょう。
② 「原因」ではなく「現状と対策」を伝える
病名や原因を詳しく説明する必要はありません。「右耳が聞き取りにくいので、左側から話してほしい」のように、**「今どういう状態で、どうしてほしいか」**をセットで伝えます。
③ 感謝の言葉を添える
配慮をお願いする際は、「すみませんが」「助かります」といった言葉を添えることで、相手も「協力しよう」という気持ちになりやすくなります。
2. 職場での伝え方・例文集
職場では「仕事に支障がないこと」を伝えつつ、必要な配慮を具体的に依頼するのがポイントです。
上司への報告(相談)
「お忙しいところ失礼します。実は最近、突発性難聴の影響で右耳が聞き取りづらくなっています。仕事には支障が出ないよう努めますが、大事な指示などは念のためメールやチャットでもいただけると非常に助かります。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。」
会議や打ち合わせの場面
「申し訳ありません。現在、耳の調子が優れず、周囲に雑音があると声が聞き取れないことがあります。もしよろしければ、私の左側に座っていただけますか? また、聞き逃しを防ぐために、後ほど議事録を確認させていただけますと幸いです。」
電話対応が難しい場合
「誠に勝手ながら、現在耳の治療中のため、電話の音声が非常に聞き取りにくい状態です。治るまでの間、お客様とのやり取りはメールを中心に担当させていただけないでしょうか。その分、事務作業や資料作成などで貢献したいと考えております。」
3. 家族や友人への伝え方・例文集
親しい仲だからこそ、甘えが生じて説明が不足しがちです。感情的にならずに「協力」を仰ぎましょう。
家族への協力依頼
「最近、テレビの音やみんなの会話が聞き取りにくくて、返事が遅れることがあるかもしれないんだ。無視しているわけじゃないから、話しかけるときは肩を叩くか、顔を見てゆっくり話してもらえると嬉しいな。」
友人との食事や外出
「誘ってくれてありがとう! 実は今、耳を治療中でガヤガヤした場所だと声が聞き取れないことがあるんだ。今日は静かな席のお店を選んでもらってもいいかな? 近くで話してもらえると助かるよ。」
4. スムーズな会話を助ける「5つの具体的なお願い」
相手は何をすればいいか分からないことが多いものです。以下のよう具体的にリクエストしてみましょう。
「話しかける前に合図をしてください」(名前を呼ぶ、手を挙げるなど)
「口元を見せて話してください」(口の動きで言葉を補完しやすくなります)
「1人ずつ話してください」(聖徳太子のように複数は聞き取れないことを伝えます)
「静かな場所へ移動させてください」(環境調整の提案)
「紙やスマホに書いて教えてください」(筆談の活用)
5. まとめ:伝えることは「相手への思いやり」でもある
自分の状況を伝えることは、決して「わがまま」ではありません。
むしろ、聞こえないまま放置して誤った判断をしたり、生返事で相手を不快にさせたりすることを防ぐ、誠実なリスク管理です。
正しく状況を伝えれば、周囲は「どうサポートすればいいか」が分かり、安心します。一人で抱え込まず、言葉という橋を架けることで、聞こえの壁を少しずつ低くしていきましょう。
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